精神科って楽なの?
インターネット上で精神科ナースを名乗る者が一度は聞かれるであろう事
「精神科って楽なの?」
今日は、そんな素朴な疑問に答えるべく、院外研修会と連休明けで約1週間ぶりに病棟に出る私が精神科ナースのお仕事を紹介して行きましょう。
まず、私が勤務しているのは精神病院の鍵をかけない病棟です。
ご存知の通り、
鍵をかける病棟→閉鎖病棟
鍵をかけない病棟→開放病棟
です。
閉鎖病棟は精神状態が良くない患者さん、不安定な患者さん
開放病棟は精神状態が比較的安定した患者さんがいます。
では、本題。
精神科ナースの1日のお仕事(A病院の場合)
リーダー;看護記録を書いたり、他のナースの報告を受けて必要に応じてドクターに患者さんの状態を報告したりします。
薬係;点滴したり、患者さんに薬を配ったり、患者さんの飲む薬を1回分毎に分けたりします。
ラウンド係;定期的に患者さんの点呼を取ると同時に様子観察をして異常がないか見ます。
銀行係;自分でお金を管理できない患者さんに患者さんが予め病院に預けたお金の中からおこずかいという形でを渡します。あとは患者さんに歯磨きなどの清潔ケアをします。
処置係;点滴以外の患者さんの処置をします。
ざっと精神科ナースの業務内容はこんな感じです。
では、果たして精神科は楽なのか。
確かに一般病院よりは点滴も処置も少ないし、業務的には楽だと思います。
しかし、精神科には精神科特有の難しさがあると思います。
例えば、典型的な幻覚・妄想のある統合失調症の患者さんがいたとしましょう。
辛い時、ナースに話を聞いて欲しいと訴えて来ました。
「病室には盗聴器が仕掛けてある。私はスパイから見られている。紫の人も立っている。怖くて部屋へ行けない。」
また、自責の念の強いうつ病の患者さんがいたとします。
「俺のせいで会社のプロジェクトが失敗してしまった。上司にも部下にも取引先にも迷惑をかけてしまい、申し訳ない。俺なんかいない方がいい。」
患者さんから、このような訴えがあった場合、あなたならどうしますか?
教科書的に、現実に目を向けてもらうように
「ここは病院だから部屋に盗聴器はありませんよ」だとか、
「プロジェクトの失敗はあなたのせいではないですよ」と
言ってしまうのは簡単な事ですが、
それでは患者さんの不安ややるせなさは緩和できないと思うのです。
精神科ナースはいかに言語的・非言語的コミュニケーションを駆使して患者さんの精神的な苦痛を取り除くかだと思います。
少し言葉のニュアンスが違っただけでも患者さんの状態を悪くしたり信頼関係が崩れる事だってあるんですから・・・
更に患者さんが急変した時にも当然最善の対応をしなければなりません。
そして、精神科の患者さんは家族関係が難しい事が多く、家族へのサポートも必要です。
そのため、個人的に精神科は楽とは言えないと思います。
結論;精神科ナースは一般科とは違った大変さがある。