深淵から見えた

白衣の堕天使。精神科→外科。

ヘンペルのカラス



黒くなければカラスでない。
白くなければ…



九州の方は梅雨入りし、
蒸し暑い季節となりました。

入職して2ヶ月、そろそろ注射以外の事は
徐々に覚えてきた頃です。

そんな私はこの蒸し暑い中、
まだまだ白衣の上に黒のカーディガンを
着て勤務しています。

理由は2つあり、
クーラーの風がダメなのと、
腕に人には見せられない傷跡があるからです

その旨、直属の上司に伝え
了承を得ていたつもりだったのですが

今日もっと上の上司から呼び止められ
「カーディガンを脱ぎなさい」
と言われました。

「そんなこと誰も気にする余裕はないから。
誰かが何か言うと思うのは
自分中心に考えてるからよ。
成長したらそんなことない。」

社会に出たらそうなのかも知れませんが
学生時代、私がこの傷跡のせいで
腫れ物扱いどころか
クラスという社会から
つまはじきにされていた経験があるので
とてもそう思えないのです。

患者さんの中にも、
腕に自分で作った傷跡がある方は
たくさんいます。

しかし、そのどれにも負けないくらいの
醜い傷跡が私にはあるんです。

そんなものを、
今まで私が健常者だと思っていた
まだ知り合って間もない赤の他人に
どう受け入れてもらえと言うのでしょうか。

親からもらうべき無償の愛を
赤の他人からむしり取ろうとした
代償がこれです。

自業自得です。

ついには社会の外へつまはじきにされて
野垂れ死ぬのがお似合いです。