被虐者の愛
最初は母親だった。
母は私がどんなに側にいて欲しいと願っても
父と喧嘩する度に私を置いて家出した。
そして、自殺未遂を繰り返した。
次は仲良くなった友達。
最初はみんな親切で、
一緒にいると楽しくて
大好きだった。
でも、みんなは私といても楽しくないから
みんな私を嫌った。
少しでも私を嫌う素振りを見せると、
大好きだった友達は無価値で存在が許せない人間になった。
その好かれている、嫌われているに一喜一憂していた。
好かれている時は自分が幸せな気がした。
でも、いつも今に嫌われるんじゃないかと不安でたまらなかった。
そして、嫌われたと思うと激しい怒りと絶望が襲ってきた。
その怒りの矛先は、他人か自分か物に向いた。
ある時は他人を罵倒し傷つけ、
ある時は自分を剃刀で傷つけ、
ある時はお気に入りのマグカップを床に叩きつけた。
そうしてもっと独りぼっちになっていく自分がいた。
そんな自分が大嫌いだった。